【後編】採用の視座を高めることが大事!日本採用力検定協会 代表理事 伊達 洋駆氏

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石垣:今回は、日本採用力検定協会の代表理事である株式会社ビジネスリサーチラボの伊達洋駆先生に、採用担当者に必要な要素などお話を伺います。

伊達 洋駆氏

株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役。神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。

2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。著書に『60分でわかる!心理的安全性 超入門』(技術評論社)や『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』(すばる舎)、『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』(共著;日本能率協会マネジメントセンター)などがある。2022年に「日本の人事部HRアワード2022」書籍部門 最優秀賞を受賞。

株式会社ストルは24年1月から「日本採用力検定協会」の賛助会員になりました!

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採用力検定とは?

企業の採用に関わる方々が、基礎的な知識やスキルを身につけるのはもちろんのこと、

労働市場全体の発展につながる力を身につけていただくことを最大の目的に、各種取り組みを行っています。

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コロナ前とコロナ後で採用力に変化は?

石垣:長い期間、採用活動や採用に関して、研究に携わられているかと思いますが、コロナ前とコロナ以降で、採用力において変化はありました?

伊達氏:確かに社会情勢は変わっていきますが、基本的な原理原則はそこまで大きく変わっていないというのがまずあります。

その意味で、採用力検定公式テキストに書かれている内容は、基礎的な知識として今もなお有益です。

他方で大きな変化としてあったのが、オンライン採用です。

実は「対面採用」は精度が高くない!

採用のオンライン化と、テクノロジーの進展というのは、コロナ化以降よりインパクトが大きくなってきているので、それらと

「どの様に自社が付き合っていくのか?」

を、考えていく必要があります。

付き合い方を誤ってしまうと、今まで上手くいっていた採用が上手くいかなくなることも考えられます。

石垣:オンライン採用については、先生で研究されていて

「こういう風にやった方がいい」

というオンライン採用を成功させる正攻法は出てきているのでしょうか?

伊達氏:企業ごとに違っている部分があります。

私は約2年前に日本能率協会マネジメントセンターさん から「オンライン採用」という本を出版しました。

オンラインの採用と対面の採用が異なる部分としては、オンラインで行うと「非言語的手がかり」と言って、いわゆる言葉以外の情報が対面と比べると少ないです。

それはいろんなところに影響を及ぼしてきます。

例えば、企業が採用の中で、行わなければならないことの一つに「惹きつけ」というのがあります。

これは、候補者の志望度を高めていくことを意味しますが、非言語情報が少なくなると惹きつけは難しくなります。

志望度を高めることが得意ではないというのがオンラインの弱みです。

他方で「見極め」と言って

「相手の能力や性格を適切に評価できるかどうか?」

という点で見ると、対面とオンラインで比較すると、実はオンラインの方がきちんと見極められていることが研究で明らかになっています。

オンラインは、惹きつけにはマイナスですが、見極めにはプラスということで、いずれも非言語情報が影響しています。

このような違いがあるのが、オンライン採用の興味深いところです。

対面の面接などの選考の方法は、そこまで精度高く見極められているわけではないということです。

石垣:先生もいろんな採用担当者さんにお会いしてきてるかと思いますが、採用力を構成する要素の中で、特に不足していると感じるものはございますか?

伊達氏:「不足している」という表現が適切かは難しいですが

「ばらつきがあるな」

という風に思うことはあります。

それは、日本採用力検定協会の用語で言うと「パースペクティブ」というものです。

パースペクティブとは採用をめぐる視座です。

採用をめぐる視座として、日本採用力検定協会では「企業最適」「社会最適」の2つを採用担当者が持つことが大事であると定義しています。

「企業最適というのは何か?」

というと、その名の通り

「自社にとってより良い採用を作っていく」

という視座を持つことです。

自社にとってということが大事で、自分にとって楽な方法というわけではなくて

「本当に自社にとって、この採用活動の進め方は適切なのだろうか?」

を考える視点を持つということです。

これが、企業最適です。

他方で、社会最適とは、日本採用力検定協会としては推しているのですが、自社にとってだけではなくて

「候補者一人一人にとって、あるいは、労働市場全体として、プラスとなる採用活動がきちんとできているのか?」

つまり

「社会的に最適な採用活動を実践できているのか?」

ということを重視しています。

そして、そのような視点を持っていただきたいと考えています。

企業最適と社会最適という2 点の「パースペクティブ」については、高いレベルで実践している採用担当者がいます。

その一方で、能力が低いということでは全くなくて

「そのようなことを今まで考えずにきた」

「あまり気づかずにきた」

という方もいます。

そこが少し差が出るというか、ばらつきが出ていると思っています。

社会最適の採用に対して、自社が貢献できているのか?

石垣:社会最適とは具体的には、どういうことなのでしょうか?

伊達氏:一つは、人材の最適配置に対して自社の採用が貢献できているのかどうかということです。

「社会最適の採用に対して、自社が貢献できているのか?」

これを考えることが、大きなところです。

もう一つの観点としてあり得るのが、私が先ほど少し触れた部分なのですが

「候補者にとって、良い採用をできているのだろうか?」

ということを考えることも社会最適の一つです。

確かに

「自社にとっては非常に良い人材が獲得できた」

と言っても、不合格になった候補者が傷つくような採用を行っていると、これは問題です。

あるいは、候補者の時間を過度に取りすぎる採用を行うと、これも社会全体で見るとあまり 良いこととは言えません。

このように、社会最適の採用というと

「このような解がある」

というものではなく、それぞれの採用担当者、企業が自分たちの採用が社会的に見て

「不都合であったり、マイナスな部分がないのか?」

「プラスの部分を広げられているのか?」

ということを考え続けることが大事ですね。

求職者ファーストで採用活動を行うことが重要

石垣:社会最適に対して

「うちはこういう風に行動指針ありますよ」

という風に発表してる会社さんはありますか?

伊達氏:採用の行動指針を明確に出している企業は、決して多いわけではないです。

しかし、採用が上手くいっている企業に共通していると思うのが「候補者を大事にしている」ことです。

候補者を優先的に考えて、採用を進めています。

これは何だか綺麗事に聞こえてしまう部分もありますが、実は営業に置き換えるとそこまで違和感の無いことです。

顧客第一主義や、顧客を重視して顧客を大事にして

「クライアントファーストに事業を進めていきます」

というときに

「何を綺麗事言ってるんだ」

とはなりにくいですよね。

そういう風にやった方がうまくいくという部分があって、採用でも同じことが言えます。

成果を残している採用担当の方とお話ししていると、候補者のニーズにきちんと寄り添って、採用活動を行っています。

候補者を大事にするという社会最適の視座を持って採用を進められている企業は、非常に多いわけではないですが、あります。

また、そのような企業が採用のパフォーマンスをきちんと上げているというのは心強いです。

石垣:営業活動に置き換えてお話しいただいたら、とても納得できました。

確かに営業だと、お客さん第一主義で、お客さんのためになるアドバイスをしたり、そのような行動をやった方が良いとよく言われているので、それを採用においても「求職者ファースト」という形で採用を行うということですね。

伊達氏:それが一つの観点だと思います。

他にも、いろんな観点で考えていきながら

「社会にとって、人材の最適配置につながっていくかどうか?」

を考え続けることが社会最適という「パースペクティブ」になります。

そしてそれは高邁な思想だけではなくて、実は自社の採用の成果にもつながるということが大事ではないかと個人的には考えています。

石垣:かなりレベルの高い話なのかもしれないのですが、確かにそこが抜けている方ももしかしたら多いかもしれないですね。

弊社でも積極的に取り入れていきたいと思いました!

伊達先生ありがとうございました。

採用力検定について詳しく説明していただけたので、受講したいという方が非常に増えたかと思います。

採用力を高めて、自社の採用に活かしていきたい方は、是非採用力検定の受験をご検討下さい。

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